この記事は、東京美容外科 統括院長 麻生 泰医師が監修しています。
ヒアルロン酸豊胸は、注射だけで手軽にバストアップできる施術として広く知られています。メスを使わないため心理的なハードルが低く、豊胸手術を検討する方が最初に興味を持つ施術のひとつといえるでしょう。
しかし、しこりや持続期間の短さといったデメリットがあり、日本形成外科学会は「現在のところは安易に受けない方がよい豊胸術」と明言しています。当院でも、患者様の安全を最優先に考え、ヒアルロン酸注入による豊胸は行っておりません。
この記事では、ヒアルロン酸豊胸のメリット・デメリットを客観的に解説したうえで、学会や公的機関がこの施術をどう位置づけているのかという根拠を示しながら、当院が取り扱わない医学的な理由と、安全性が確立された豊胸術についてご紹介します。ヒアルロン酸豊胸を検討中の方はもちろん、すでに受けて今後の対応に悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
目次
ヒアルロン酸豊胸とは
ヒアルロン酸豊胸とは、豊胸専用のヒアルロン酸製剤を注射器でバストに直接注入し、ボリュームアップを図る施術です。「プチ豊胸」とも呼ばれ、メスを使わない手軽な豊胸術として認知されています。
- ヒアルロン酸はもともと人体に存在する成分で、肌のハリや潤いを保つ役割を担っている
- 豊胸に用いるヒアルロン酸は、美容注射(シワ取り等)に使うものとは異なり、粒子が大きく高粘度に作られている
- 注射のみで完了し、施術時間は15~30分程度と短い
- 効果を実感できる期間はおおむね1~2年程度で、時間とともに吸収されて元に戻る(=永続しない)
製剤にもよりますが、注入したヒアルロン酸は時間とともに吸収され、バストアップを実感できる期間はおおむね1~2年程度です。この「効果が持続しない」という点が、シリコンバッグ豊胸との最も大きな違いです。製剤ごとの持続期間の違いは次の章で詳しく解説します。
ヒアルロン酸豊胸に使われる製剤の種類
豊胸に使用されるヒアルロン酸製剤にはいくつかの種類があり、それぞれ粒子サイズ・粘度・持続期間が異なります。製剤ごとの特徴を理解しておくことは、リスクを正しく把握するうえで重要です。
| 製剤名 |
粒子・特徴 |
持続期間の目安 |
しこり・硬さの傾向 |
| Hyacorp(ハイアコープ) |
大小の粒子を混合。現在最も主流の製剤 |
約2年 |
比較的穏やか(ただしゼロではない) |
| Sub-Q(サブキュー/旧マクロレーン系) |
従来のヒアルロン酸の約10倍と非常に粒子が大きい |
約2~3年 |
粒子が大きく、しこりの報告が多い |
| HAC-40 |
高濃度タイプ |
約2~3年 |
高粘度のため硬さが目立ちやすい |
ここで補足しておきたいのは、これらはあくまで製剤上の持続期間の目安であり、
実際にバストアップを実感できる期間はより短くなる点です。
ヒアルロン酸は注入直後から少しずつ吸収されていくため、「2~3年持続」とされる製剤でも、
ふくらみをはっきり実感できるのは1~2年程度というのが一般的です。
そしてもう一点理解しておきたいのは、「持続期間の長さ」と「しこり・硬さのリスク」は、どちらも粒子の大きさという同じ要因で決まっているという点です。ヒアルロン酸は粒子が大きいほど体内で吸収されにくくなり、持続期間が延びます。
しかし粒子が大きいほどバスト内で分散しにくく、塊として残ってしこりになりやすくなります。
つまり「長持ちさせようとすれば、しこりのリスクも上がる」という表裏一体の関係にあるのです。
実際、粒子の大きいSub-Qは持続が2~3年と長い一方でしこりの報告が多く、逆に粒子を小さく改良した製剤では硬さやしこりの発生率が下がる代わりに持続期間は短くなる、という関係が知られています。「長持ちする製剤を選べば安心」でも「早く吸収される製剤なら安全」でもなく、どの製剤を選んでもこのトレードオフからは逃れられません。
なお、美容注射用のヒアルロン酸(シワ取りやほうれい線の注入に使うもの)を豊胸に流用しても、粒子が小さすぎてすぐに吸収されてしまい、豊胸効果はほとんど得られません。豊胸には豊胸専用の製剤が使用されます。
ヒアルロン酸豊胸の注入量と注入部位
ヒアルロン酸豊胸では、バストアップしたいサイズに応じて注入量が決まります。一般的な目安は以下のとおりです。
- 1カップアップ:片胸あたり約100cc(両胸合計約200cc)
- 2カップアップ:片胸あたり約200cc(両胸合計約400cc)
ただし、これはあくまで目安であり、体型・現在のバストサイズ・胸の組織の厚みによって必要量は個人差があります。また、1回の施術で安全に注入できる量には上限があり、あまりに大量のヒアルロン酸を一度に注入すると、しこり形成のリスクが格段に高まります。2カップ以上のサイズアップを希望する場合は、複数回に分けて注入するか、ヒアルロン酸豊胸以外の術式を検討したほうがよいでしょう。
ヒアルロン酸は、一般に乳腺の下の層に注入されます。皮膚や皮下脂肪に近い浅い層に注入すると、硬さが表面に出て触ったときに分かりやすくなるためです。逆に、乳腺の中や大胸筋の中など本来入れるべきでない層に誤って注入されると、炎症を起こしてしこりの原因になりやすいとされています。どの層に的確に注入できるかは、施術する医師の技術に左右されます。
ヒアルロン酸豊胸のメリット
ヒアルロン酸豊胸には、以下のようなメリットがあります。手軽さを重視する方にとっては魅力的に映る施術でしょう。
メスを使わず傷跡が残らない
ヒアルロン酸豊胸の最大の特徴は、注射のみで施術が完了する点です。皮膚を切開する必要がないため、外科手術のような傷跡が残る心配がありません。
施術跡は注射の針穴程度で、数日もすればほぼ目立たなくなるのが一般的です。
ダウンタイムが短い
全身麻酔ではなく局所麻酔で行うケースが多いため、施術後すぐに帰宅でき、翌日から通常の生活に復帰できるケースがほとんどです。
仕事を長期間休む必要がない点も、忙しい方にとってはメリットといえるでしょう。
1回あたりの費用が比較的安い
1回あたりの費用は、他の豊胸術と比較すると低めに設定されていることが一般的です。
ただし「1回あたりが安い」ことと「トータルで安い」ことは別で、この点は次の章で詳しく解説します。
ヒアルロン酸豊胸の費用|1回の安さとトータルコストは別
豊胸術ごとの費用相場を比較すると、以下のようになります。
| 施術の種類 |
1回あたりの費用の目安 |
効果の持続 |
10年間のトータル費用の目安 |
| ヒアルロン酸注射 |
約60~80万円 |
1~2年(再注入が必要) |
約300~560万円 (5~7回繰り返した場合) |
| 脂肪注入 |
約50~120万円 |
定着すれば半永久的 |
約50~120万円 |
| シリコンバッグ挿入 |
約70~120万円 |
半永久的 |
約70~120万円 |
1回あたりの費用だけで見ればヒアルロン酸豊胸が最も手頃に映ります。
しかしヒアルロン酸は体内で吸収されるため、効果を維持するには1~2年ごとに再注入を繰り返す必要があります。
10年間で考えた場合、ヒアルロン酸豊胸を5~7回繰り返すと合計300~560万円になり得ます。
一方、シリコンバッグ豊胸は1回の施術で半永久的に効果が持続するため、70~120万円で済む計算です。
「1回あたりが安い」という目先のメリットで判断すると、長期的にはかえって割高になる可能性があります。
しかも、後述するとおり再注入を繰り返すほどしこりのリスクは蓄積していきます。
「費用がかさむ」だけでなく「リスクも積み上がる」という二重の負担がある点に注意が必要です。
ヒアルロン酸豊胸のデメリット・リスク
手軽なイメージがある一方で、ヒアルロン酸豊胸にはいくつかの重要なデメリットとリスクが存在します。
しこりや硬さが残る可能性がある
ヒアルロン酸豊胸で最も多く報告されるトラブルが、しこりの形成です。注入したヒアルロン酸が体内で均一に分散せず塊として残ると、周囲に線維性のカプセルが形成され、触った際に硬いしこりとして感じられるようになります。
しこりの発生メカニズムには、大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつは注入直後にヒアルロン酸が一箇所に固まってしまうケース(注入技術の問題)、もうひとつは体内の異物反応としてヒアルロン酸の周囲に組織が巻き付いてカプセル化するケース(体質の問題)です。
後者は技術の高い医師が施術しても完全には防げません。
つまりこれは「良いクリニックを選べば避けられるリスク」ではなく、ヒアルロン酸豊胸という術式そのものに構造的に内在するリスクだということです。
一度形成されたしこりが自然に消えることは期待しにくく、状態によっては除去手術が必要になるケースもあります。さらにしこりが瘢痕化(はんこんか)すると周囲の組織にまで炎症が広がり、除去がいっそう困難になることもあります。「メスを使わない手軽な施術」を選んだはずが、結果的に外科手術を受けることになる。これがヒアルロン酸豊胸に特有の矛盾です。
効果の持続期間が短い(1~2年)
ヒアルロン酸は体内の酵素によって少しずつ分解・吸収されていきます。そのため効果の持続期間は製剤にもよりますがおおむね1~2年程度にとどまり、永続的なバストアップは得られません。
効果が切れてきたタイミングで再注入するケースが多くなりますが、再注入を重ねるほどしこり形成のリスクは蓄積されていきます。
1回目の注入で問題がなかったとしても、2回目、3回目と回数を重ねるにつれてしこりが発生する確率は上がります。このリスクの蓄積性が、ヒアルロン酸豊胸の見落とされがちな問題点です。
触った感触が硬くなりやすい
豊胸用のヒアルロン酸は、バスト内で形状を保つために美容注射用のものよりはるかに高粘度で作られています。注入部分の感触は自然な胸の柔らかさとは異なり、硬めに仕上がるケースが少なくありません。
特に日本人女性は欧米人と比べて胸の組織(乳腺や皮下脂肪)が薄い傾向にあるため、皮膚の下に注入されたヒアルロン酸の硬さがより目立ちやすくなります。見た目だけでは分かりにくくても、パートナーに触れられた際に不自然さを指摘されることは珍しくありません。
乳がん検診(マンモグラフィー)に影響が出る場合がある
胸にヒアルロン酸が残っている状態でマンモグラフィーを受けると、しこり状になったヒアルロン酸が画像上で乳腺の異常所見と区別しにくくなる場合があります。正常な状態なのか、乳がんの初期症状なのかの判定が困難になるのです。
加えて、マンモグラフィーでは胸を板で強く圧迫して撮影するため、その圧力でしこりが破損・変形するリスクも指摘されています。破損したヒアルロン酸が周囲に漏れ出すと、二次的な炎症やさらなるしこり形成につながる恐れがあります。
こうした理由から、ヒアルロン酸豊胸を受けた方にはマンモグラフィーではなくエコーやMRIでの乳がん検診が推奨されています。日本では40歳以上の女性にマンモグラフィー検診が推奨されており、検診方法に制約が生じることは、長期的な健康管理の観点で無視できないデメリットです。
ここがポイント!
ヒアルロン酸豊胸のしこりは、注入技術の問題だけでなく、体質による異物反応として起こることもあります。つまり、どんなに経験豊富な医師が施術しても、しこりのリスクを完全にゼロにすることはできません。これはヒアルロン酸豊胸という術式そのものに内在する構造的な問題であり、当院がこの施術を取り扱わない最大の理由です。
学会・公的機関はヒアルロン酸豊胸をどう位置づけているのか
「クリニックによって言うことが違う」と感じている方も多いかもしれません。そこでここでは、特定のクリニックの見解ではなく、学会や公的機関が公表している資料をもとに、ヒアルロン酸豊胸の位置づけを確認します。
日本形成外科学会:「安易に受けない方がよい豊胸術」
日本形成外科学会は、一般向けの疾患解説ページ「豊胸術(乳房増大術)」のなかで、次のように明記しています。
ハイドロジェルやヒアルロン酸などの注入物を用いる方法は、いまだ学会で広くは認められていません。かつてのシリコンやワセリンの注入による多くの後遺症の発生に対する反省からも、現在のところは安易に受けない方がよい豊胸術といえます。
出典:日本形成外科学会「豊胸術(乳房増大術)」
ここで注意したいのは、引用文中の「シリコン」とは、かつて行われていた液状シリコンを直接注入する豊胸術を指しており、現在主流のシリコンバッグ豊胸とはまったくの別物だという点です。
同じ学会ページでも、現在の豊胸術の主流は「コヒーシブシリコンバッグ」を用いる方法であると明記されています。
つまり学会は、「体内に直接注入する豊胸術(ヒアルロン酸・液状シリコン等)」には慎重である一方、バッグを挿入するシリコンバッグ豊胸は現在の標準的な術式として位置づけているのです。
学会が一般の方に向けて、注入系の豊胸術について「安易に受けない方がよい」と名指しで注意喚起している。
この事実は、施術を検討するうえで知っておくべき情報です。
美容医療診療指針:ヒアルロン酸豊胸は「行わないことを強く推奨」
厚生労働科学研究事業として、美容医療に関係する5つの学会(日本美容外科学会〈JSAPS〉、日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会〈JSAS〉、日本形成外科学会、日本皮膚科学会)が中心となり、日本医師会も研究協力者として加わって「美容医療診療指針」が作成されました。この指針では、乳房増大術についても項目が設けられ、施術ごとに推奨度が示されています。
この指針は、乳房増大術に関するクリニカルクエスチョン(CQ)に対して、明確な推奨度を示しています。ヒアルロン酸豊胸については、次のように結論づけられています。
【CQ】乳房増大を希望する患者に、ヒアルロン酸製剤注入は有効か?
推奨度:1(行わないことを強く推奨する)
ヒアルロン酸製剤注入による乳房増大術は、手軽に効果を得られる反面、被膜拘縮や乳癌検診の妨げになる可能性が指摘されており、その使用には慎重さが求められる。米国食品医薬品局(FDA)は乳房増大へのヒアルロン酸製剤の使用を許可しておらず、またヨーロッパで使用されていたMacrolane(乳房増大用ヒアルロン酸)もCEマーク撤回に至った。世界的にも承認品が存在しない状況を考慮した上で、班会議で慎重に議論した結果、推奨度は1とすることとした。
出典:厚生労働科学研究費補助金「美容医療の診療指針(令和3年度版)報告」
この指針で「推奨度1」とは、その内容を最も強い確信度で推奨するレベルを指します。ヒアルロン酸豊胸については「行わないこと」が推奨度1で示されている。つまり学会が「受けるべきではない」と最も強い確度で結論づけているということです。これは、施術を検討するうえで最も重く受け止めるべき事実といえます。
また、この指針の先行研究として、全国3,093施設を対象に美容医療の有害事象の実態調査が行われました。その結果、非外科的手技(=注入系の施術)による重度の有害事象のうち、非吸収性充填剤とヒアルロン酸製剤の注入によるものが8割を占めたと報告されています。報告された重度合併症には感染症・異物肉芽腫・皮膚壊死などが含まれ、重度後遺症の3分の1は施術から5年以上経過した後に発生していたとされています。
海外での位置づけ
- アメリカ:米国FDAは、豊胸術に皮膚充填剤(Dermal Filler)を用いることを許可していません(=豊胸目的での使用は未承認)。※「禁止」と表現されることもありますが、正確には「安全性・有効性が確認されておらず承認されていない」という位置づけです。
- 欧州(Macrolane):かつて欧州で豊胸に使われていたヒアルロン酸製剤「Macrolane(マクロレーン)」は、CEマーク(EUの安全規格)が撤回され、豊胸用途では使われなくなりました。乳がん検診の妨げになることなどが理由とされています。
出典:厚生労働科学研究費補助金「美容医療の診療指針(令和3年度版)報告」
米国FDA「Dermal Fillers (Soft Tissue Fillers)」
このように、ヒアルロン酸をはじめとする注入フィラーによる豊胸は、欧米では安全性・診断への影響の観点から用いられなくなってきており、広く行われているのは現状では主に日本や韓国などアジア圏に限られています。
ヒアルロン酸豊胸の痛みとダウンタイム
ヒアルロン酸豊胸の痛みやダウンタイムを時系列で整理します。
| 時期 | 症状・できること |
| 術中 | 局所麻酔を行うため、強い痛みを感じることはほとんどない(麻酔の注射自体にチクッとした痛みはある) |
| 術後1~3日 | 注入部位に筋肉痛のような鈍い痛みや張り感。デスクワーク程度の日常生活は翌日から可能 |
| 術後1週間 | 痛みはおおむね落ち着く。激しい運動や長時間の入浴は控える |
| 術後2週間以降 | ほぼ通常の生活に戻れる。内出血が出た場合もこの時期には目立たなくなる |
ダウンタイムが短いことはヒアルロン酸豊胸のメリットのひとつですが、注意が必要なのは「ダウンタイムが短い=リスクが低い」ではないという点です。術後の回復が早くても、しこりや持続期間の問題はダウンタイムとは無関係に発生します。むしろ、ダウンタイムの短さがリスクの低さと誤解されやすいことこそが、この施術の危うさだといえます。
なお、術後に想定以上の強い痛みや腫れ、発赤、熱感が長く続く場合は、感染や注入トラブルのサインである可能性があります。自己判断せず、速やかに施術を受けたクリニックに相談してください。
ヒアルロン酸豊胸を長持ちさせる方法はある?
長持ちさせるために一般的に言われている方法としては、以下のようなものがあります。
- 持続性が比較的高い製剤(HAC-40など高濃度タイプ)を選ぶ
- 適切な注入量を守り、一度に過剰な量を入れない
- 術後に胸を強く圧迫するような行為(うつ伏せ寝、きつい下着など)を避ける
- 注入回数をなるべく少なく抑え、吸収されたら都度追加するのではなく間隔を空ける
ただし、これらを実践してもヒアルロン酸が体内で吸収されるという根本的な性質は変えられません。
高濃度の製剤を選べば持続期間は多少延びますが、粘度が高くなるほどしこりや硬さのリスクも増加します。「長持ちする方法を選ぶ=リスクも上がる」というジレンマがあるのです。
結局のところ、どのような工夫をしても効果が永続するわけではなく、定期的な再注入は避けられません。
これがヒアルロン酸豊胸の構造的な限界です。
当院がヒアルロン酸豊胸を取り扱わない理由
東京美容外科では、ここまで解説してきたリスク・デメリットを総合的に判断し、ヒアルロン酸注入による豊胸は行っておりません。
- しこりの形成リスクが技術では回避しきれず、構造的に避けられない(除去手術が必要になる可能性がある)
- 効果が1~2年と限定的で、維持のために繰り返し注入が必要になり、リスクが蓄積する
- 乳がん検診への影響など、将来の健康管理にまで懸念が及ぶ
- 日本形成外科学会が「安易に受けない方がよい豊胸術」と明言している
- 米国FDAは豊胸目的での充填剤の使用を許可していない
「施術メニューにない=対応できない」ということではありません。上記のリスクを医学的に検討した結果、患者様の安全と長期的な満足度を考えたときに、ヒアルロン酸豊胸を推奨することはできないと判断しています。
ここがポイント!
「取り扱いがない」と聞くと不安に思われるかもしれませんが、これは対応できないということではありません。患者様に自信を持っておすすめできない施術はメニューに入れない――それが東京美容外科の方針です。当院では、他院でヒアルロン酸豊胸を受けてしこりや変形にお悩みの方のご相談も承っております。過去に受けられた方も、お気軽にお問い合わせください。
他院で受けたヒアルロン酸豊胸の除去・修正について
当院には、他院でヒアルロン酸豊胸を受けた後に、しこり・硬さ・左右差・痛みなどでお悩みの方からのご相談が寄せられます。ここでは、実際に当院で行った除去・修正の症例をご紹介します。
症例1:2回の注入で、片胸に6cm以上の硬いしこり
他院でヒアルロン酸豊胸を2回受け、片胸あたり合計200cc程度を注入された患者様です。ご来院時には両方の乳房が変形し、左胸は6cm以上の硬いしこりとなってカプセル拘縮を起こしていました。
注入を繰り返したことで、吸収されなかったヒアルロン酸が塊として残り、周囲に厚い被膜が形成された状態です。前述した「再注入を重ねるほどリスクが蓄積する」という問題が、そのまま現実になったケースといえます。
- 施術名:ヒアルロン酸除去・シリコンバッグ豊胸
- 施術の説明:ヒアルロン酸を除去し、シリコンバッグを挿入してバストアップする手術
- 施術の副作用(リスク):血腫・カプセル拘縮・感染・傷跡・左右差・痛み・むくみ・赤み・腫れ・内出血
- 施術の価格:300,000~1,200,000円(税込)
症例2:痛みで夜も眠れず、仕事に支障が出るまでに
「ダウンタイムや痛みが心配だから」という理由でヒアルロン酸豊胸を選ばれた患者様です。
ところが結果は、ヴァージスライン(乳房下溝線)の高さの明らかな左右差とバストの左右差が生じ、痛みが強く夜も眠れない、腕も動かしにくくお仕事に支障をきたすという状態でした。
「痛みやダウンタイムを避けるために選んだ施術で、かえって強い痛みが長引く」。ヒアルロン酸豊胸の「手軽さ」というイメージが、いかに実態と乖離し得るかを示す症例です。
- 施術名:ヒアルロン酸除去・シリコンバッグ豊胸
- 施術の説明:ヒアルロン酸を除去し、シリコンバッグを挿入してバストアップする手術
- 施術の副作用(リスク):血腫・カプセル拘縮・感染・傷跡・左右差・痛み・むくみ・赤み・腫れ・内出血
- 施術の価格:300,000~1,200,000円(税込)
除去の方法:「溶かせば消える」とは限らない
ヒアルロン酸は、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する酵素)を注射して溶解・除去するのが基本で、通常はこの溶解によって対処できます。ただししこりが瘢痕化まで進行している場合は、切開を伴う除去が必要になることもあります。
また注意したいのは、「溶ける=きれいに消えてなくなる」わけではないという点です。将来的にシリコンバッグ豊胸を検討する場合、残ったヒアルロン酸は事前に溶解・除去しておく必要があります。「すぐ吸収されるから、試しに一度だけ」という考え方は、後々の選択肢を狭め、余計な手術と費用を招くことにつながりかねません。
実際の除去手術の様子
当院では、他院修正の実際の様子を動画でも公開しています。注入されたヒアルロン酸がバストの中でどのような状態になっているのかは、文章よりも実際の映像のほうが伝わるはずです。
医学的に推奨されている豊胸術
ヒアルロン酸豊胸のリスクを踏まえたうえで、現在医学的に評価されている豊胸術をご紹介します。
シリコンバッグ豊胸
シリコンバッグ豊胸は、豊胸手術の中で最も長い歴史と豊富な臨床データを持つ術式です。前述のとおり、日本形成外科学会も現在の豊胸術の主流はコヒーシブシリコンバッグであるとしています。
- ヒアルロン酸のように体内で吸収されないため、一度の施術で半永久的な効果が得られる
- 現在のシリコンバッグは素材・構造ともに大幅に進化しており、触った感触も自然な柔らかさに近い
- 万が一トラブルがあった場合でもバッグの取り出し・入れ替えが可能で、修正がしやすい
- トータルコストで見ると、繰り返し注入が必要なヒアルロン酸豊胸よりも経済的な場合が多い
注入系の施術との決定的な違いは、「取り出せる」ことです。体内に拡散してしまう注入物と違い、バッグは抜去できるため、リスクをコントロールしやすいという利点があります。
脂肪注入豊胸
ご自身の太ももやお腹から脂肪を吸引して採取し、バストに注入する施術です。自分の組織を使うため異物感がなく、自然な柔らかさが得られます。前述の美容医療診療指針でも「行うことを強く推奨する」と位置づけられている術式です。
ただし、注入した脂肪の定着率は一般的に50~70%程度で、1回の施術では1~1.5カップ程度のアップが目安です。
ハイブリッド豊胸
シリコンバッグと脂肪注入を組み合わせた施術です。シリコンバッグでボリュームを確保しつつ、脂肪を上から注入することで、見た目も感触も自然な仕上がりを目指します。
「痩せ型だからヒアルロン酸豊胸しかない」は誤解
「体に脂肪がないから脂肪注入はできない。かといってシリコンも怖い。だからヒアルロン酸しか選択肢がない」。
こうした悩みを抱える痩せ型の方は少なくありません。しかし、この考えは正しくありません。
痩せ型の方でもシリコンバッグ豊胸は受けられます。バスト周囲の脂肪が少ないためバッグの輪郭が透けやすいという懸念はありますが、挿入位置を大胸筋の下にする(デュアルプレーン法・大胸筋下法)ことでバッグが筋肉に覆われ、輪郭が目立ちにくくなります。
むしろ組織が薄い方ほど、注入したヒアルロン酸の硬さが直接手に伝わってしまいます。痩せ型の方こそ、ヒアルロン酸豊胸は不向きだといえます。
ヒアルロン酸豊胸のよくある後悔・失敗例
ヒアルロン酸豊胸を受けた後に「やらなければよかった」と感じるケースには、次のようなものがあります。
- 注入したヒアルロン酸が硬いしこりとして残り、触ると分かる
- 左右で吸収スピードが違い、時間の経過とともに左右差が目立ってきた
- 思ったほどボリュームが出なかった/すぐに元に戻ってしまった
- 胸が不自然に硬く、パートナーに触れられて豊胸が分かってしまった
- 効果を維持するための再注入で費用がかさみ続けている
- しこりが取れず、結局除去手術が必要になった
これらの失敗例が「なぜ起きるのか」という背景や、実際のケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ヒアルロン酸豊胸に関するよくある質問
過去にヒアルロン酸豊胸を受けていてもシリコンバッグ豊胸は受けられますか?
基本的には切り替え可能です。ただし、バスト内にヒアルロン酸のしこりが残っている場合は、まずしこりの除去を行い、胸の状態を整えてからシリコンバッグを挿入する流れになることがあります。
状態は一人ひとり異なりますので、まずは無料カウンセリングにて現在の胸の状態を確認させてください。
ヒアルロン酸豊胸のしこりは自然に消えますか?
一度形成されたしこりが自然に消えることはほとんどありません。解消するにはヒアルロニダーゼ(分解酵素)の注射か、状態によっては外科的な除去手術が必要になります。
しこりに気づいたら早めに医師に相談することが大切です。
ヒアルロン酸豊胸後に母乳への影響はありますか?
注入は通常、乳腺の下の層に行うため、母乳の分泌経路を直接傷つけることは少ないとされています。ただし、注入したヒアルロン酸が乳腺周囲に広がったり、しこり化した塊が乳腺を圧迫したりすることで、乳腺炎を引き起こすリスクは否定できません。妊娠・授乳を予定されている方は、施術前に医師と十分に相談してください。
ヒアルロン酸豊胸はバレますか?
見た目だけでは分かりにくいケースもありますが、パートナーなどに触れられた場合は、胸の硬さから気づかれる可能性があります。豊胸用のヒアルロン酸は高粘度で作られているため、自然な胸の柔らかさとは異なる感触になりやすい点は理解しておきましょう。
ヒアルロン酸豊胸は何回まで受けられますか?
明確な回数制限はありませんが、注入を繰り返すほどしこりの形成リスクは蓄積されていきます。2~3回以上の再注入を検討されている場合は、トータルコストとリスクの両面から、他の術式への切り替えを検討されることをおすすめします。
「すぐ吸収されるから、試しに一度だけ」でも受けないほうがいいですか?
おすすめしません。ヒアルロン酸は吸収されるとはいえ、完全に消えてなくなるわけではなく、しこりとして残る可能性があります。将来的にシリコンバッグ豊胸などを検討する際には、残ったヒアルロン酸を溶解・除去する必要が生じます。「一度だけ試す」つもりが、後の選択肢を狭めることにつながりかねません。
豊胸のご相談なら東京美容外科へ
記事のポイント
- ヒアルロン酸豊胸は手軽さが魅力だが、しこり・持続期間・感触の硬さ・乳がん検診への影響など複数のリスクがある
- しこりのリスクは技術では回避しきれない構造的な問題であり、再注入を重ねるほど蓄積する
- 日本形成外科学会は「安易に受けない方がよい豊胸術」と明言している
- 米国FDAは豊胸目的での充填剤の使用を許可していない
- 1回あたりは安く見えても、10年単位のトータルコストではかえって割高になり得る
- 当院では患者様の安全を最優先に考え、ヒアルロン酸豊胸は取り扱っていない
東京美容外科では、患者様一人ひとりのご希望や体型を丁寧にヒアリングし、適した豊胸術をご提案いたします。シリコンバッグ豊胸をはじめ、脂肪注入豊胸やハイブリッド豊胸など、安全性が確認された術式を幅広くご用意しております。
過去にヒアルロン酸豊胸を受けられた方の除去・修正のご相談も承っております。しこりや左右差、痛みなどでお悩みの方は、お一人で抱え込まずご相談ください。
参考文献