胸の形に悩みを抱える女性にとって、胸の真ん中の骨が出っ張っている「鳩胸」という状態は、大きな不安や疑問の種になりがちです。
鏡を見るたびに「胸の形が普通と違うのではないか」と不安になったり、水着や胸元の開いた服を自信を持って着られないと感じてしまうことはないでしょうか。
人に相談しづらいデリケートな悩みだけに、自分だけの問題ではないかと心配になる方も多いでしょう。
本記事では、鳩胸とはどのような状態なのか、その原因や特徴、そして見た目を整えるための矯正方法やケアの工夫について解説します。
鳩胸とは?特徴と治し方
鳩胸とは、胸の真ん中にある胸骨(胸の中心の骨)が前方へ突き出したように見える状態を指します。
そのため正面から見ると胸の中央が盛り上がり、横から見ると胸全体が前に張り出して見えるます。
外見上独特のシルエットになり、特に女性ではバストの谷間ができにくいためこの特徴がコンプレックスにつながりやすいでしょう。
症状の程度によって対処法は異なりますが、例えば成長期であれば胸に矯正ベルトを一定期間装着して徐々に骨の突出を抑える方法があります。
大人になってからは外科手術によって胸骨の形を整えるケースも見られます。
このように、鳩胸は適切な矯正や工夫によって改善が可能なため、正しい知識を持って対処法を検討することが大切です。
鳩胸を矯正する外科的手術の種類
鳩胸の程度が強かったり、他の方法で効果が不十分な場合には、胸の形そのものを矯正する外科的手術が検討されることもあります。
この手術では胸骨や肋軟骨など骨格自体の形を直接整えるため、胸のシルエットに大きな改善効果が期待できます。
特に成長後の大人ではこうした手術が唯一の根本治療手段となる場合もあり、次のような方法が症例に応じて使い分けられています。
- 胸の中央を開胸して突出した胸骨や軟骨を直接矯正する方法
- 胸に金属製のバーを挿入して内側から骨を押し下げる方法
いずれの術式も矯正効果は大きい反面、体への負担(入院や術後の痛み)や傷跡の問題も伴うため、受ける際は専門医と慎重に検討することが大切です。
鳩胸を引き起こす2つの要因は?
鳩胸はなぜ起こるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、原因は大きく分けて2つの要因があります。
一つは遺伝や発育上の問題による先天性(生まれつき)のケースで、もう一つは病気や環境の影響によってあとから生じる後天性のケースです。
先天性では幼少期から胸の形に特徴が現れ、ご家族にも同様の特徴が見られることがあるでしょう。
一方で後天性では、小児期のくる病(ビタミンD欠乏症)など骨の成長に影響する疾患が原因となる例や、胸部の外傷・手術後に発症するケースも知られています。
鳩胸は先天性・後天性いずれの場合も起こり得ます。
原因を知ることで自身の状態を正しく理解し、適切な対処につなげることが大切です。
遺伝的要素によるケース(先天性)
鳩胸になる方の多くが該当するのが先天性の鳩胸です。
生まれつき胸郭の発達に特徴があるため、幼少期から胸骨の突出が見られ、成長とともに症状がより目立ってきます。
はっきりとした原因は解明されていないものの、家族に同じような胸の形の人がいることも多く、遺伝的な要因が関係すると考えられます。
例えば両親や兄弟姉妹にも鳩胸の傾向が見られる場合、それは遺伝による可能性が高いでしょう。
生活習慣など自分で防げるものではありませんが、適切な矯正やケアによって十分に見た目の改善を図ることが可能です。
先天性の鳩胸自体は基本的に健康に影響を及ぼすことも少ないため、過度に心配しすぎないことも大切です。
疾患が影響するケース(後天性)
後天性の鳩胸は、成長過程で病気や外傷などの影響により胸骨が突出してしまうケースを指します。
これは鳩胸全体から見ると比較的少ないケースで、先天性に比べて発生頻度は高くありません。
小児期のくる病(ビタミンD欠乏症)など骨の発育に影響する疾患や、胸部の外傷・手術による胸骨変形が主な原因として挙げられます。
幼少期に栄養不足でくる病を発症すると、骨が軟らかく変形しやすいため胸骨が突出した状態で成長してしまうことがあるのです。
後天性の場合は、まず原因となった疾患の治療をしっかり行った上で、残った胸の形を適切な矯正や工夫によって改善させることができます。
そのためには原因への早期対応が進行を抑える鍵になります。
鳩胸の見た目を整えるための工夫
鳩胸が気になって胸元に自信を持てなくなることはありませんか?
必ずしも手術をしなくても日常生活での工夫次第で見た目の印象を十分に和らげることができます。
姿勢の取り方や服装・下着の選び方などを工夫すれば、胸骨の突出を目立ちにくくし、全体のバランスを整えることが可能です。
ここで紹介するのはいずれも日常ですぐに実践できる工夫ばかりです。
- 背中のストレッチで姿勢を正す
- 胸元にボリュームのある服を選ぶ
- カップ面積の小さなブラジャーを選ぶ
このような工夫をすることで胸骨の突出を上手にカバーできます。
小さな工夫を積み重ねることで、鳩胸によるコンプレックスを和らげ、より自信を持てる見た目に近づけることができるでしょう。
ストレッチで姿勢を改善する
鳩胸の見え方は姿勢次第で大きく変わります。
特に猫背の姿勢だと胸骨の突出がより強調されてしまいますが、ストレッチで姿勢を改善することで見た目を和らげる効果が期待できます。
胸や肩周りの筋肉をほぐして正しい姿勢を保てるようにすると、胸骨が前に突き出にくくなり、結果として鳩胸の見た目が和らぐのです。
このようなストレッチや体操を毎日数分行えば、固まった筋肉が柔らかくなって自然と良い姿勢を維持しやすくなります。
最初は体が硬くて難しく感じるかもしれません。しかしストレッチは自宅で手軽にできるため、毎日少しずつでも無理なく継続することが大切です。
徐々に姿勢が整うことで、鳩胸の見た目も和らいでいくでしょう。
胸元を目立たせない服装を選ぶ
鳩胸が気になると服装選びにも悩みますよね。
服装を工夫して胸元が目立たないようにすれば鳩胸の印象を和らげることができます。
胸元にボリュームのあるデザインや装飾が付いたトップスを選べば、鳩胸をカバーしやすくなります。
胸骨の突出に視線が集まらず、胸の凸凹をうまくカモフラージュできるのです。
また、暗めの色や柄物の服も胸のラインを目立ちにくくする効果があります。
逆に体にフィットしすぎる服や胸元が大きく開いた服は鳩胸を強調しやすいため避けたほうが無難です。
薄手で体に張り付く服より、少しゆとりのあるシルエットの服を選ぶと安心でしょう。
自分に似合う服装を工夫するだけで、鳩胸を気にせずおしゃれを楽しむことができます。
カップ面積の小さなブラジャーを着用する
鳩胸の方によくある悩みとして、胸が離れて見える・谷間ができにくいということがあります。
その場合はブラジャーの選び方を工夫することでバストの見た目を整えることができます。
特にカップ面積の小さいブラジャー(3/4カップブラなど)はバストを中央に寄せやすく、胸骨周りに谷間を作りやすいのが特徴です。
カップの浅いプランジタイプのブラを使えば、左右の胸をしっかり寄せて胸骨の出っ張りを覆うことができます。
逆にカップが深いフルカップブラは胸を寄せる力が弱いため、鳩胸の場合は避けた方がよいでしょう。
自分に合ったブラジャーを正しく着用すれば、胸元に自信を持って堂々と過ごせるでしょう。
見た目が気になる場合は豊胸術も選択肢に
自分でできる工夫では解消しきれないほど見た目が気になる場合は、思い切って豊胸術(バストを大きくする施術)を検討するのも一つの方法です。
胸にボリュームを加えることで胸骨の突出との段差が小さくなります。
そしてバストが胸骨を覆うようになるためデコルテのシルエットを整える効果が期待できます。
シリコンバッグや脂肪注入によってバストをサイズアップすれば、胸骨の高さとの差が減って鳩胸が目立ちにくくなります。
また、メスを使わないヒアルロン酸注入などの方法も選ぶことが可能です。
豊胸術は費用やリスクも伴いますが、その分見た目への効果は大きいです。
一人で悩まずに専門のクリニックで相談すれば自分に合った方法を提案してもらえるでしょう。
豊胸で鳩胸を治すメリット
鳩胸の見た目を豊胸術で改善することには、さまざまなメリットがあります。
まずバストに十分なボリュームが加わると体全体にメリハリが生まれます。
そして胸の谷間もでき、胸骨の突出もバストに覆われて自然と目立たなくなるため左右の胸の大きさのアンバランスがある場合も調整しやすくなります。
豊胸術にはシリコンバッグ挿入や脂肪注入など複数の方法があり、ヒアルロン酸注入など手軽な方法もあります。
希望や体型に合わせて最適な施術を選択できる点もメリットと言えるでしょう。
豊胸術を取り入れることで、鳩胸による見た目の悩みを総合的に解決することが可能です。
女性らしいボディラインと自信を取り戻せる豊胸術は、鳩胸解消の心強い味方です。
胸の左右差を整えられる可能性
鳩胸で左右の胸の大きさに差があると悩んでいる場合でも、豊胸術によってその左右差を整えられる可能性があります。
豊胸では左右それぞれに入れるシリコンバッグのサイズや注入する脂肪の量を調整できるため、左右のバストサイズのアンバランスを補正しやすいからです。
実際に左右で異なるサイズのプロテーゼを用いるケースもあります。
片方のバストが小さい場合、小さい側に多めの脂肪や大きめのインプラントを入れることで、術後には左右差の少ないバストラインに整えることができます。
豊胸術では、ブラジャーのパッドで補正するより確実に理想的なバストシルエットを手に入れることが可能です。
鳩胸の突出を目立たなくできる
胸の中央の骨が突き出て見えることに悩んでいる場合でも、豊胸術によってその出っ張りを目立たなくできる可能性があります。
バストにボリュームを足すことで胸骨の周囲に厚みが加わり、正面から見たときに胸骨の突起がバストに隠れて目立ちにくくなるためです。
横から見たシルエットもバストが前に出る分、骨の突出が気になりません。
バストを2カップ程度サイズアップすれば、それまで浮き出て見えていた胸骨がバストに覆われ、胸の中央のラインがすっきり滑らかになります。
胸骨の出っ張りに視線が集まらなくなることで、鳩胸だったことを気にせず自信を持てるようになるでしょう。
豊胸法を複数から選べる
豊胸術にはいくつかの種類があり、自分に合った方法を選べるというメリットがあります。
など、それぞれ特徴やダウンタイムが異なる豊胸術が存在します。
そのためニーズに応じて最適な施術を選択することが可能です。
メスを使わない注入のみの方法もあり、手術に抵抗がある人でも選択肢が用意されています。
傷跡をできるだけ残したくなければヒアルロン酸注入を選ぶこともできますし、大幅なサイズアップを望むならシリコンバッグ豊胸が適しています。
希望に合わせて方法を使い分けることで安心して豊胸術を受けることができます。
選択肢が多いことは、鳩胸の改善に際して無理のない手段を見つけやすく、不安なく施術に臨めるという利点があります。
豊胸で鳩胸を治すデメリット
豊胸術には多くのメリットがありますが、鳩胸を豊胸で改善する際にはいくつかのデメリットがあることにも注意が必要です。
- 豊胸をしても胸が離れて見えてしまうリスク
- 術後に痛み・腫れ・内出血などのダウンタイムが生じる
- 痩せ型で脂肪が少ないと希望の施術が受けられない場合がある
- 脂肪注入が難しくシリコンバッグしか選べないケース
上記のように事前に押さえておくべき点があります。
胸骨の突出具合によっては、豊胸後もバストが中央に寄り切らず谷間ができないなど、以前より離れて見えてしまうケースもあります。
そのため、これらのデメリットも踏まえて豊胸術を検討することが大切です。
離れ乳が悪化するリスク
せっかく豊胸しても谷間ができない可能性があり、鳩胸の場合は左右の胸が離れた状態(離れ乳)が悪化してしまうリスクがあります。
胸にボリュームを足しても骨格の影響でバストが中央に寄りにくく、むしろサイズアップしたぶん左右に広がって見えてしまう可能性があるからです。
もともと胸が離れ気味だった場合、豊胸してサイズは大きくなっても谷間ができにくく、結果的に以前より離れ乳が目立ってしまうケースもあります。
つまり豊胸すれば必ず谷間ができるわけではなく、このリスクを理解した上で施術を検討する必要があります。
場合によってはブラジャーで寄せる工夫も引き続き必要になるということです。
術後ダウンタイムが生じる可能性
豊胸術を受けると、術後に一定期間のダウンタイム(安静にして回復を待つ時間)が生じる可能性があります。
手術である以上、術後には痛みや腫れが数日から数週間続き、その間は日常生活に支障が出たり、安静に過ごす必要があるためです。
豊胸後は胸周りの筋肉痛のような痛みで腕を大きく動かせず、重い物を持つ作業ができなくなったり、仕事を1週間程度休まなければならないケースもあります。
豊胸術にはダウンタイムの期間があることを理解し、仕事や育児への影響も踏まえて手術のタイミングを検討しましょう。
時間的な余裕を持って臨むことが大切です。
脂肪が少ないと施術が難しい場合がある
脂肪注入で自然に豊胸したいと思っても、体に脂肪が少ない痩せ型の方の場合はそうした施術が難しい場合があります。
脂肪注入豊胸は自分の体から脂肪を採取する必要がありますが、痩せていると十分な脂肪が取れないことがあります。
すると施術自体が行えなかったり、思うような効果が得られなくなってしまうのです。
全身が細身の方が脂肪注入豊胸を希望しても、採取できる脂肪量が足りず施術を断られたり、大幅なサイズアップが難しかったというケースもあります。
痩せ型の方は豊胸術の方法選びに制限が出る可能性があるため、事前に医師と相談して適切な施術プランを検討することが大切です。
鳩胸を治すのに豊胸を利用する際のおすすめポイント
鳩胸による胸元の悩みは、日々の姿勢・服装の工夫から美容医療の活用まで、適切な対策を取ることで改善が期待できます。
ストレッチやブラジャー選びなど手軽に始められる方法で見た目をしっかり整え、それでも気になる場合は豊胸術も含めて前向きに検討すると良いでしょう。
日常のケアを続けつつ専門のクリニックで相談すれば、手術の有無も含め、自分に合ったベストな解決策を提案してもらえます。
総合的に対策を講じることで鳩胸のコンプレックスを和らげ、理想のバストラインに近づけるはずです。
自分一人で抱え込まず信頼できる専門家と一緒に最適な方法を見つけていきましょう。