
暑いときや運動の際の大量の汗は「生理的多汗」であり、体温調節機構(恒常性:ホメオスタシス)のためです。多汗症の定義には入りません。
また、特殊な多汗の原因として甲状腺など内科系疾患に起因する多汗や、更年期障害におけるホルモンバランスの崩れによるのぼせや多汗がありますが、一般的に多汗症を大別すると、以下の2種類があります。
① ワキガ型多汗症
② 精神性発汗型多汗症
① 「ワキガ型多汗症」の場合は、「臭いと汗の両方が気になる場合」と「臭いは特に気にならないが、汗がわきの下から滝のように流れたり、下着や洋服が黄ばむ、汗じみが気になる」という2つのパターンがあります。
② 発汗に関与するのはエクリン汗腺ですが、この汗腺は自律神経(アセチルコリン作動性の交感神経)の支配をうけています。「精神性発汗型多汗症」は、心因性の刺激(ストレス、緊張、不安など)を受けた時、交感神経の作用が高まるために、エクリン汗腺からの発汗が増加し、その結果、大量の汗を一度にかく症状で、わきの下だけでなく、手のひら、足の裏、顔などにも発症します。最も多いのが手のひらで手掌(しゅしょう)多汗症といいます。手のひらに汗がにじむ程度の人から、指先から汗が滴り落ちるほど発汗する人までいます。例えば、テストの際など手にだらだら汗をかき、ハンカチが手から離せない、汗で書類が破れそうになる、車のハンドルが握れない、パソコンが汗で壊れてしまうという人もいます。
「手足」の多汗症の治療は、制汗剤をまず試し、交感神経切除(胸腔鏡による手術:胸腔鏡下胸部交感神経切除術)、抗コリン剤(交感神経の末端で発汗を促進させるアセチルコリンという伝達物質を阻害します)や抗不安剤のなど薬剤の服用、もしくは緊張をほぐして気持ちを鎮めるための自律訓練法(心理的療法)などがあります。しかし自律訓練法による多汗症治療はかなりの時間がかかりますので、もっと簡単に抑えたいというのであれば、「ボトックス」の注射も選択肢のひとつです。