
浸潤麻酔のみで十分な除痛が困難な処置・手術の場合に用いられます。
除痛したい部位の近位において,その部位を支配する痛覚伝導路を局麻薬で遮断します。すなわち、除痛したい部位から「痛み」として脳が感じるまでの「痛みを伝える神経の道筋」(これが痛覚伝導路)をブロックしてしまう方法で、使用する局麻薬や部位によって作用時間は異なります。
神経ブロックと伝達麻酔はもともと同じものを指し、日本の健康保険制度では、手術のための局所麻酔として行うものを伝達麻酔、そして麻酔科などのペインクリニックなど疾病の治療目的に行うものを神経ブロックと区別していますが、しばしば混同して用いられています。ペインクリニックの治療のことを「神経ブロック療法」と呼ぶこともあります。
伝達麻酔は大きく次の3つがあります。
a) 狭義の伝達麻酔(神経ブロック)
b) 脊椎麻酔
c) 硬膜外麻酔
a)狭義の伝達麻酔(神経ブロック)
美容外科では、顔面の手術の際に下顎神経ブロックなどの三叉神経のブロックや、眼窩上神経ブロックを併用することがあります。一般外科では手指の除痛を得るための「指ブロック」や整形外科などの手術で「腕神経叢ブロック」を併用したりします。
麻酔科などのペインクリニックでは「神経ブロック療法」のことを指します。耳鳴り、メニエール病、突発性難聴、顔面神経麻痺などに対して星状神経節ブロックを行うなど、様々の神経ブロック療法があります。
b)脊椎麻酔
背中から、脊髄神経に直接麻酔液を作用させます。一般病院では主に虫垂炎(盲腸)や帝王切開の手術、また整形外科、泌尿器の一部の手術のとき使われる麻酔方法です。歩行や排尿、排便にも影響が出現し、日帰り手術の多い美容外科ではあまり使用されません。
c)硬膜外麻酔
脊椎麻酔と同様、背中からの麻酔ですが、脊髄神経に直接麻酔液を作用させるのではなく、脊椎神経を覆っている硬膜という膜の外側に麻酔液を作用させるため、知覚神経だけに作用させたり、外来手術で目的とする足や腹部もしくは胸部の範囲だけに作用させることができます。
美容外科では豊胸術や脂肪吸引などの手術のときによく用いられます。一般病院では腹部や胸部の手術の際の術後、術中の疼痛管理のため全身麻酔に併用してよく用いられます。帝王切開でも上述の脊椎麻酔と併用されることが多いです。